本日は、平成26年(2014年)1月4日土曜日
【東京・四ツ谷の経営コンサルタント 中小企業診断士の立石です】

あさって月曜日が、みなさまの仕事始めでしょうか?ただいまは世間一般が冬休みのため、休日のテーマは「バラエティ」です。昨日に引き続き、私が新卒で入社した株式会社キーエンスの話題です。当時のキーエンスは中小企業から大企業へ飛躍する頃でありました。現代の中小企業経営者に参考になることも多いと思います。私の頭の中の記憶を綴りますが、もう四半世紀以上過ぎたので、ボンヤリした内容かもしれません。最近は何事につけ日記を書いておけばよかったと後悔する日々です(笑)

1987年(昭和62年)。新卒入社40数名のうち営業配属となった24名に、4月半ばから約2週間の取扱製品の講習が始まりました。実際に機器を使っての講習です。もちろん、センサというものに触れるのは初めてです。
まず基本的なセンサ。製品や機械の動作等について、対象物が「ある(ON)」・「ない(OFF)」の判別に使用されます。まず、センサに「ある(ON)」か「ない(OFF)」かを「覚えさせる」手順が基本です
。当時はマイナスのねじ頭のような部分をドライバーで回しながら、対象物を置いて「ある(ON)」、対象物なければ、「ない(OFF)」を調整します。いったん調整すれば連続で動作可能。机上での講習でしたが、なるほど、製造ラインで固定されたセンサの前を、横切る部品等の通過確認ができる…
つまり、「ある(ON)」・「ない(OFF)」の2段階の判別をおこなう、これらのセンサ類は、基本的なセンサであり、実は当時、大手競合会社が圧倒的にシェアをもっていたのです。

そして別のセンサを扱う事業部の製品。センサの先端の部分(センサヘッド)は、巻き線技術を応用した「磁気(渦電流)方式」で「ある(ON)」・「ない(OFF)」のタイプと原理的に同じでありますが、接続されるアンプ(本体)の部分が、「ある(ON)」・「ない(OFF)」の2段階のみならず、3段階(高い・中位・低い)の判別や、距離と比例した電圧が出力されます。
つまり非接触の定規のような機能があって、こちらはキーエンスの成長を支えたオリジナルのセンサ応用機器で、基本的なセンサより高い価格のもので、競合が無いとの説明がありました。

センサの【応差(おうさ)】
センサの実機操作で、最初に対象物を置いて「ある(ON)」、対象物なければ、「ない(OFF)」を調整し設定するにあたり、当時は、回路自体がアナログなので、対象物をセンサにむけて往復させると、近づけていってオンする空間的な位置と、逆に遠ざけていく際のオンする位置が一致しない、すなわちオンする地点のバラつきの幅である「応差」が存在します(不良ではなくアナログ機器の宿命です)。
いまや、たやすく説明できる内容ですが、文系出身だった私には、これを理解するのに当時相当苦労したと記憶しています。だいたいの家電製品では、スイッチを押すとそのとおりの働きをします(あくまで感覚としてですが、デジタルですね)、また、現在のTCP/IPのような類には、学生の時に学んだ数学の2進法が、そのまま通用するので理解もたやすいのですが、電気回路の「アナログ」という概念には通用しない知識だったのです。

戸惑いながらも、同じ文系出身の同期で、4月の研修期間中に機器操作を完璧にマスターする優秀な方も現れます。この研修期間に機器の理解が足りなくても、5月に営業所に配属された後、自身の営業担当地区を任される7月頃には、全員が機器の操作については完璧になるのです。

ところで、技術的な製品の営業に、文系を採用するのは、いったい何故なぜだったのでしょうか?今思えばですが、先行する大手競合会社との競争に勝つためには、文系出身者のコミュニケーション能力に期待していたのではないかと、個人的には推測しています。次回もキーエンス本社での新人研修の思い出、本社研修の記憶をたどりましょうかね…

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就活中で文系の学生さんへ。
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