本日は、平成26年(2014年)2月11日火曜日(建国記念日)
【東京・四ツ谷の経営コンサルタント 中小企業診断士の立石です】

祝日のテーマは「バラエティ」です。前回に引き続き、私が新卒で入社した株式会社キーエンスの話題です。当時のキーエンスは中小企業から大企業へ飛躍する頃でありました。現代の中小企業経営者に参考になることも多いと思います。私の頭の中の記憶を綴りますが、もう四半世紀以上過ぎたので、ボンヤリした内容かもしれません。最近は何事につけ日記を書いておけばよかったと後悔する日々です(笑)

本日のお題:キーエンスの企業風土・「論理優先」で「良い悪いを明確にする」
どこの会社でも、実際の勤務経験がなければ、その会社の企業風土を語ることは難しいはずです。最近、公的な資料で知ったのですが、私がキーエンスに勤務していた当時の企業風土は、ただいまも維持されているようです。
平成25年6月14日に提出された有価証券報告書を参照してみてください、「コーポレート・ガバナンスの状況」に記載されている内容に、私が即座に反応したキーエンスらしさを象徴する文言があります。当該報告書の抜粋になりますが、
…中略…論理優先で十分に議論を尽くして良い悪いを明確にしていく企業風土を維持し、不正・不祥事の防止はもとより…

以上の「論理優先」で「良い悪いを明確にしていく」、これこそが他の企業がマネできない、キーエンス独特の企業風土だと思います。
まず「論理優先」。当時創業者から「判断の基準は経済原則で行う」と訓示があったと思います。先輩だからとか、声が大きいからだとかの基準で、物事を判断されたり、意見が採用されることは合理的でないという意味合いでもあります。入社まもない社員の意見でも「論理的」であれば、そのまま採用されます。
また、経済原則を基本とした「論理的」思考とは、創業者はもちろん社員全員が「(私的な)好みを排除する」ことでもあります。
好みの排除は、各営業所の業務用車両の車種選定でも徹底されていました。車種選定には、創業者自身が関与せず各拠点長の裁量に任されていましたが、車両の塗装色のみは、創業者が「白」を指示。「白のみ」を指定する理由は、創業者が「白」が好きだということではなく、誰もが納得する「論理」(経済原則)で「白」となっているという説明でした。当時の私は、その理由について、いたく感心した記憶があります(申し訳ありませんが、内容は今回秘匿しておきます。白の車両価格が安いといった程度のことではありません、もう少し深いです)。
また、「好みを排除する」ということは、もちろん人事評価にも反映されるとのことでした。人事評価に「好み」が関与すると公正さがなくなる。創業者の考えでは、好き・嫌いで昇格させることを回避して、実力主義を徹底させるということでもあったようです。
そして「良い悪いを明確にしていく」。
当時、創業者から「良い・悪いをはっきりさせる」という言葉で訓示があったように思います。簡単な一例として、営業部門では、毎月の売上予算を達成すれば「良い」、未達成ならば「悪い」。いたって単純明確です。ただ「悪い」からといって、暴力はもちろん個人の人格を否定する暴言(今でいうパワハラ)などは、私が所属した販売グループで経験したことがありません。あくまで仕事上で「悪い」と指摘をうけるまでです。新人でも遠慮なく、上司や先輩に堂々と「悪い点」を指摘できます。誰もが問題点を指摘して改善するスタンスです。
以上の点からも、キーエンスが合理的だといわれる所以だと思います。企業としては絶好のお手本だと思います。しかし、日本の企業、とりわけ歴史のある会社では多かれ少なかれ、後輩が先輩に意見具申すること自体が難しかったり、仕事上の改善の為に問題点を指摘することに対して「まあ、いいじゃないか」「そこは適当に」と許容範囲が広かったりという風土があると思います。そういう意味で、好業績のキーエンスを真似るというのは、そう簡単ではないと思います。
キーエンスの合理性を支える「論理優先」で「良い悪いを明確にしていく」は、私が入社したころから徹底され始めたと記憶していますが、まだ確立されるまでの過渡期だったと思います。実際、新卒の私が先輩の問題点をズバリ指摘するというのは、現実的に難しかったと思います(この点は、私が心酔した創業者の意向に反していますね)。所属した営業所全体も、ぼんやりですが年功序列的要素があって、いわゆる「武士の情け」があったような、無かったようなというところでしょうか…その情けが本当に必要だったのか否か、難しい場面があったところではあります(指摘をすれば、確実に会社を去るであろう方がいました)。
2017年4月追記
新人でも遠慮なく、上司や先輩に堂々と「悪い点」を指摘できる・・・その仕組みについては、関連記事ご覧ください。
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