本日は、平成26年(2014年)2月15日土曜日
【東京・四ツ谷の経営コンサルタント 中小企業診断士の立石です】

土日・祝日のテーマは「バラエティ」です。前回に引き続き、私が新卒で入社した株式会社キーエンスの話題です。当時のキーエンスは中小企業から大企業へ飛躍する頃でありました。現代の中小企業経営者に参考になることも多いと思います。私の頭の中の記憶を綴りますが、もう四半世紀以上過ぎたので、ボンヤリした内容かもしれません。最近は何事につけ日記を書いておけばよかったと後悔する日々です(笑)

1987年(昭和62年)6月。
入社1年目。配属された営業所の地方では、降雨量が少ないために取水制限が繰り返され、水道の蛇口の流量も、日を重ねるごとに心細くなっていきます。いわゆるカラ梅雨です。断水寸前まで危機だった思います。
さて、研修もいよいよ終盤。ひとりでお客さまに訪問することになりました。飛び込み訪問でなく、過去に引き合いのあったお客さまに電話アプローチをして、訪問予定(もちろん終日4件)を組んで、教育担当の方に訪問予定を提出してアドバイスを受けてから、翌日訪問します。
私が所属する販売グループは、遠方も担当していたのですが、初回の訪問は、比較的近辺のエリアを訪問しました。
朝7時に出発。工場や研究所のお客さまに訪問して、会議室や食堂の片隅で、コンセントをお借りして、これまで重ねた練習通り、持参した機器(デモ機)の説明を行いました。質問される機器の性能や原理なども、しっかり答えられたと思います。
それでも営業の素人ブリは、お客さまにはわかるようで、入社して何年ですかと尋ねられます。「4月に入社したばかりです」と正直に答えると、「へえ~もう第一線にでているの?」と驚かれました。自身が扱う事業部の製品は、高額な測定機器でもあるので、訪問して即受注には至りません。
幸いなことに、具体的テーマがあって、2件のお客さまに機器をお貸出しすることに成功しました。いまや業界で、ほとんどの会社で実施している「機器の無料貸し出し」です。
初回訪問としては、なかなか順調な滑りだしでした。まだ正式な担当地区ももたず、個人の売上予算も無い研修期間ですが、もし受注に至れば、販売グループの実績に貢献できるのです、お世話になった先輩方への恩返しになります。ただ2件とも、当時販売していた機器本来の機能に限界があって、残念ながら受注には至りませんでした。
一方、全国あちらこちらの営業所で、同期の新人が初売りの実績を上げていきます。
同じ営業所に配属された同期は順調です。基本的なセンサの販売担当として、持ち前のコミュニケーション能力の高さを発揮して、この研修期間内に新規受注件数を増やしていきます。前任の担当者の不手際があったのか、電話アプローチで自身が初めてコンタクトするお客さまから突然「キーエンス?また電話か?全く失礼な会社だ!」とお怒りになられている場合でも、冷静かつ機転を利かして訪問アポにこぎつけます。
しかも、実際の訪問で、ライバル会社の納入実績を覆して受注に成功します。そんな凄腕だったので、こちらはますます焦る一方でした。
そしてまもなく8月度(7月21日~)。以降は新卒の営業担当者にも正式な販売担当地区と売上予算の目標が与えられます。
研修期間終了直前、私の教育担当の先輩が退職されることとなりました。私の販売グループで、最も遠方の地区(営業所から500km以上)も担当されていた方です。独立して自営業を営まれると伺いました。正直とてもショックでした。

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