本日は、平成26年(2014年)2月22日土曜日
【東京・四ツ谷の経営コンサルタント 中小企業診断士の立石です】

寒いですね。
土日・祝日のテーマは「バラエティ」です。先週に引き続き、私が新卒で入社した株式会社キーエンスの話題です。当時のキーエンスは中小企業から大企業へ飛躍する頃でありました。現代の中小企業経営者に参考になることも多いと思います。私の頭の中の記憶を綴りますが、もう四半世紀以上過ぎたので、ボンヤリした内容かもしれません。最近は何事につけ日記を書いておけばよかったと後悔する日々です(笑)
先日、クライアントに訪問した際、「キーエンスさんに電話注文したら、当日出荷され翌日には到着。とても対応が早い」と聞きました。実は私が入社した20数年前の1987年には、既に「全商品即納」の体制を確立済みだったのです。
「キーエンスの営業担当者は納品業務を行わない」「商品は即納」。本社研修の際に、創業者から話された内容は事実でした。納品の業務を、当時拡大成長しつつあった宅配業者さんに委託できたのもキーエンス成長の追い風であったと思います。
当時の営業所には、顧客訪問の際に営業担当者が持参するPR用のデモ機はありましたが、販売する商品や貸し出し機は、ひとつとして置かれていませんでした。商品はすべて、本社で一括集中管理され出荷されます。現在はもっと遅い時間でも対応可能かもしれませんが、当時はお客さまからの注文を受けた営業担当者が午前中に手続きすれば、当日の夕方までに本社から商品が確実に出荷されるというルールでした。営業担当者の手続きはいたって簡単で、電話も使いません。
発送されたか否かについて、営業部門から出荷部門にいちいち確認する必要もありません。依頼すれば「確実に」「自動的に」に出荷されるのみです。
また、当日出荷についての事前確認や連絡も原則必要無し。事前確認が必要なのは、予め決められた大口数量の場合のみです。しかもそんなイレギュラーな場合も電話一本の依頼で済み、ほとんどの場合「対応可」の即答。私が在職中、当日出荷の依頼を断られた経験は一度もありません。キーエンスの商品出荷は、すべてがオートマチックに進むのを体感しました。
商品の出荷については、ベテランの営業担当者であれ新人の営業担当者でも、依頼すればルール通りに物事が進みます。以前綴った「好みを排除する」という観点からも、出荷部門が、依頼する営業担当者のキャリアや人物を見て対応変えるといった、恣意的なことは絶対にありえません。最短で商品を発送することは、最短で売上計上につながるという「経済原則」の理にもかなっているのです。
このオートマチックに淡々と進む「即納体制」の維持は、「目標レベル」といった甘いものではなかったと思います。キーエンスの創業者が絶対妥協しない「例外の無いルール」のひとつに違いありません。営業部門から早い時間帯の出荷依頼に対しては、何が何でも当日出荷することが原則なのであります。絶対にありえない話しでありますが、品切れという理由で当日出荷できない事態ともなればキーエンスでは大事件です。当該商品の工程管理・出荷に携わる担当者は、営業部門に出荷できない事実を説明できても、本社では一切の弁明が通用しないはずです。次回も、当時業界では異例ともいえるキーエンスの「即納体制」について語りましょうかね…

『元キーエンス社員の回想、通算100回』にして、学生さんむけ、社会人むけ、そして経営トップ・事業責任者むけの記事をまとめてみました(コチラをクリックしてください)。