本日は、平成26年(2014年)2月23日日曜日
【東京・四ツ谷の経営コンサルタント 中小企業診断士の立石です】

土日・祝日のテーマは「バラエティ」です。昨日に引き続き、私が新卒で入社した株式会社キーエンスの話題です。当時のキーエンスは中小企業から大企業へ飛躍する頃でありました。現代の中小企業経営者に参考になることも多いと思います。私の頭の中の記憶を綴りますが、もう四半世紀以上過ぎたので、ボンヤリした内容かもしれません。最近は何事につけ日記を書いておけばよかったと後悔する日々です(笑)

昨日の話題「全品当日出荷」というシステムの続きです。
個人の買い物でもネット通販が全盛ですね。発注した後の納期も確実で、納品までの日数も早いと体感されていると思います。これもITのおかげだと誰もが考えるところですね。
キーエンスが画期的なのは、ITが現在のように普及していない頃(私が入社した1987年)に「全品当日出荷」の体制を確立済であったことです。私がキーエンスに在職当時の営業所には、製品在庫はありません。商品は全て本社から発送されます。営業所にはパソコンはもちろん、本社とつながる専用端末などもありません(世間一般にPCが爆発的に普及するのは1995年以降ですね)。午前中に営業担当者が通常の手続きを行えば、相当数の大口数量の出荷等を除き、電話連絡も一切不要です。
キーエンスの販売スタイルの基本は「直販」です。一方、ライバル会社のほとんどは、代理店経由で商品を販売するスタンスです。ライバル会社は、各地区の代理店に製品を納入して、その代理店が製品を実際にお使いになる工場や研究所というエンドユーザーに契約・納入します。つまり、ライバル会社の直接の取引先は、極論を言えば代理店のみとなり、取引件数自体は多くは無いはずです。キーエンスの場合は、エンドユーザーと直接の売買契約を結びます。そのため取引先の数がライバル会社に比べて圧倒的に多いのです。大手企業はもちろん、中小企業にも数量1個から注文をうけます。特に、市場でもっとも使われる基本的なセンサを販売する営業担当者の注文件数は、相当な数になります。受注分の事務手続きに時間をかけていては、直販のシステム自体が成立しなくなります。営業担当者の簡単な手続きで、受注分についてを当日本社から出荷される全社的な工夫があったのです。
私は精密計測機器の販売担当でした。基本的なセンサに比べて相当高額でもありましたが、こちらも「全品即納」でした。これもキーエンスの創業者が絶対妥協しない「例外の無いルール」のひとつに違いありません。
また、本社で出荷に携わる社員は、毎日が戦場のようだったと思います。こういった当日出荷の原則などの決められたルールに反して「いい訳がましく、できない理由を長々語る人」や「業務の面でウソをつく人」は、ほとんど見当たらなかったと思います。次回も、当時業界では異例ともいえるキーエンスの「即納体制」について語りましょうかね…

『元キーエンス社員の回想、通算100回』にして、学生さんむけ、社会人むけ、そして経営トップ・事業責任者むけの記事をまとめてみました(コチラをクリックしてください)。