本日は、平成26年(2014年)3月9日日曜日
【東京・四ツ谷の経営コンサルタント 中小企業診断士の立石です】
土日・祝日のテーマは「バラエティ」です。昨日に引き続き、私が新卒で入社した株式会社キーエンスの話題です。当時のキーエンスは中小企業から大企業へ飛躍する頃でありました。現代の中小企業経営者に参考になることも多いと思います。私の頭の中の記憶を綴りますが、もう四半世紀以上過ぎたので、ボンヤリした内容かもしれません。最近は何事につけ日記を書いておけばよかったと後悔する日々です(笑)

私がキーエンスに入社したのが1987年(昭和62年)。
バブル景気到来はまだ先で、直前に円高不況がありました。そんな先の見えない不況の中で「経費削減」という言葉が、ビジネスの分野で多用されていたと思います。
世間一般では、その経費削減の一環として通信費にもメスを入れます。携帯電話が普及していない時代、営業部門で利用する固定電話の通信費を下げたいというニーズがあったのでしょうか「課金メーター」という類の管理機器が登場しています。
発信した件数と通話時間を記録して、各端末(電話機)の料金がいくらかかったかの明細記録が、用紙として打ち出されるものです。この管理機器が、キーエンスの営業所にもありました。
一般的な会社では、こういう機器を導入して各営業担当者の料金をチェックして「通話を手短にして電話代を減らしなさい」となるのでしょうが、私が勤務した当時のキーエンスは全く逆でした。電話を積極的にするというスタンスです。

当時の営業担当者は、週2日程度の訪問外出と、残り3日は営業所で終日電話営業を行いました。売上(成果)予算とともに営業所にいる日は、お客さまへの「電話発信件数とトータルの通話時間」にも目標というものがありました。目標数値は都度修正がありましたが、営業所で「1日50件かつトータル150分以上」という時期があったことを確実に覚えています。
電話発信通話時間150分(2時間30分)。終日営業所にいれば、簡単なように思えますが、営業所にあった課金メーターは、発信のみの記録を行いますが受信については全く記録されませんでした(もともと電話料金を管理する機器ですから、料金がゼロの受信について件数と通話時間などは管理不要なのでしょう)。
その為、お客さまからの電話(受信)の場合は、お問い合わせなどで時間が長くなる場合もありますが、残念ながら全くカウントされません。しかもご丁寧な機能があって、発信を記録する場合も1分以内の通話は記録されません(もともと長い通話を戒めるための機器でしょうから、必要のない機能だったのでしょう)。当時、工場へ営業する会社の共通の苦労として、電話連絡してもお客さまが製造ラインに入って事務所には不在というケースが多々ありました。そんな場合、通話は1分以内に終了してしまいます。というわけで150分(2時間30分)というのは、意外と難題でもありました。
私は営業所から遠方の地区を担当していました。現在のように通信会社の激しい競争がなかった頃でしたので、通話1分100円以上はあたりまえ。すごいコストだと思いましたが、もちろん例外などはなく電話をかけることが要求されました。接待交際費ゼロの一方で、本当に必要なコストは惜しまない。
研修の際、創業者から「経費」の考え方をわかりやすい例で示されたことがあります。「レストランや喫茶店で接客されるお仕事で、所作や対応がいい方は、あちらこちらより引く手あまたで、時間給は一般の方より高いのが当然である。そういった優秀な方を採用した場合、経費は増えるが、その対応の良さが人気となって、お客さまが増えて売上が増えるのなら、人件費の増加も全く問題にならない」。
今回テーマの通信費も同じです。「必要な経費は使う」という姿勢にブレは無いのです。いま現在から回想すれば、営業所で終日電話を握って長時間営業することは、一般の会社には無いキーエンス独特の厳しいシステムだとは思いますが、正直言って私の退縮理由にはなりません。学生時代のアルバイト先が「経費削減・電話代節約」とケチケチしていて、ひどく閉塞感があったことに比べれば、目の前が開けたようでした。、他の会社のシステムや事情など全く知らない新卒入社の私にとって、勤務していた当時は全然へっちゃらな内容でありました。(関連記事も是非ご覧ください)

『元キーエンス社員の回想、通算100回』にして、学生さんむけ、社会人むけ、そして経営トップ・事業責任者むけの記事をまとめてみました(コチラをクリックしてください)。

追記 2018(平成)4月
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