本日は、平成28年(2016年)5月8日曜日
【東京・四ツ谷の経営コンサルタント 元キーエンス社員、中小企業診断士の立石です】

「新規取引先を増やすには?」というテーマで、元キーエンス社員の経営コンサルタント(中小企業診断士)である私が、ご相談を受けた場合・・・その第2回目です。営業研修資料写真はイメージです・・・

前回に引き続き、BtoB(企業間取引)の製造業・卸売業・顧客訪問セールス型のビジネスで、『新規取引先を増やす』ために必要な、営業担当者のスキルについて綴ります。
昨日の「ヒアリング能力」と同様、私が重視している営業担当者の「お客さまとの契約を実現する折衝能力(以下、クロージング能力」について語ります。

自身の勤務経験からも、キーエンスの営業担当者の「クロージング能力」は、ライバルを圧倒していたと思います。
勤務当時の主力商品であった基本的なセンサ、そして私がセールス担当した計測機器とも、後発参入でありました。
後発ですから、引合から商談~そして契約段階まで、ほとんどの商談で、市場で先行するライバルと競合するわけです。つまり、ライバル会社の直販営業担当者や、中間業者(卸売業・商社)の営業担当者との競争となります。

『決勝まで進み、最後に競り勝つ』

キーエンスの営業担当者は、まず購入予定であるお客様の最終検討段階まで、候補として残して頂けるように努力いたします(つまり、複数のライバル会社との予選を勝ち抜いて決勝に進出する)。
そして決勝で「競り勝つスキル」を、ほとんどの営業担当者が持ち合わせているという点が、全社的な強みなのであります。

メーカーでありながら、中間業者(卸売業・商社)の営業に勝ち抜くクロージング能力

BtoB(企業間取引)の製造業では、中間業者(卸売業・商社)の方に、販売を依頼する場合も多いのですが、これは中間業者の営業力に、期待していることでもあります。
卸売価格の設定が必要なので、自社の販売単価(利益)は減るものの、自社の営業部門の強化(営業担当者の増員・研修)などに注力しなくて済みます。
結果、自社は製品の開発・製造に特化できます。このような、ある種の【製】・【販】の分業は、外部資源の活用、相互補完という観点からも、当然の成り行きです。
ところが、強力であるはずの中間業者(卸売業・商社)の営業担当者にも競り勝つのが、キーエンスの営業担当者です。いわゆるキーエンスの看板ともいえる直販営業です。
もちろん直販営業は、キーエンスが初めてではありません。ただ、それまで直販を選択した企業は、キーエンスとは異なり、他社を圧倒する製品がある、あるいは特定の固定客を持っている場合がほとんどだと思います。
わかりやすいように、極端な表現をしますが「中間業者に依頼しなくても、自社のみで売上高を確保できる体制」を構築済みであったわけです。私が転職したアンリツの計測機器群の、直販営業の基本スタンスも同様でした。

キーエンスの直販営業のスタンス。最後の最後まであきらめない

私がキーエンスに勤務していた当時は、売上高予算を達成するとともに、特定顧客との取引依存というリスクを分散するためにも、新規顧客をたくさん増やすことが求められました。
後発参入の事業で、新規取引先を増やすということは、先行するライバル会社との受注競争に勝ち続けなければならないことを意味します。
ライバルに「競り勝つスキル」というものが、営業担当者にどうしても必要なわけです。
商談シーンでお客さまから御見積書依頼があった場合・・・「いわれた通りに提出、後はお客さま任せ」といった姿勢は、キーエンスでは絶対にありえません。
相手(お客さま)任せでは、失注する可能性が高いからです。こういう営業担当者は、キーエンスでは全く存在価値が無いのです。
営業担当者自身が、可能なかぎりの対応で最後の最後まであきらめない。これが暗黙のルールでもありました。
また、ライバルとの受注競争を制すため、止む無く値引きをする場合も、安易な値引きをいたしません
(理由は、実績が利益によるカウントといった仕組みにも依存します:詳しくはコチラをクリックしてください)。
【失注しない】【1円でも高く売る】それらの思考と手法を、ライバル会社が知れば、
おそらく『そこまで考えたうえで、値引きを算定・価格提示しているのか!』といった感嘆の声があがると思います。

私が勤務していた当時、キーエンス営業担当者の「クロージング能力」は、前回の「ヒアリング能力」と同様、教育を行う直属の上司の方針・スキルによって、弱干のバラツキがあったと思います。
現在は新卒採用がメインになっていると思いますが、以前綴った通り、私が勤務していた当時の、腕のいい先輩方は中途採用の方がほとんど。さらに個人むけのダイレクトセールス経験者も多数いらっしゃいました。
一般消費者むけの「クロージング能力」という高度な営業のスキルを、BtoB(企業間取引)の分野に取り入れて戦術としたのは、おそらくキーエンスが先駆けだったと思います。

【失注しない】【1円でも高く売る】思考とスキル

研修やセミナーの講師を拝命した場合、プロフィールを出す必要があります。私が「キーエンス出身」とわかり、声の大きいところからも、クロージングの手法は「もしや押しの一手?」といった雰囲気になります。もちろん、キーエンス在職中にそういう方もいましたが、基本となる私の考え方・方針は、全く違います。

まずは、かつて綴りました責任者(凄腕の上司→詳しくコチラをクリックしてください)との、やりとりの回想から・・・
たしか、達成会の宴席でのことです。責任者から質問されました。
『営業の折衝力を高めるには、何が必要だと思う?』 実は責任者ご自身も、その答えに悩んでおられたようでした。しかも先手を打たれて『但し【気合い】とか【押し】という答えはダメ。論理的に』
『誠意・・・は、論理的か否や・・・』???はてな???
責任者が『心理学だと思わない?』
『実際、いまにも発注しますといったご様子から、お買い上げになるかな?と期待してみたが受注に至らず。一方で、まったくご興味をお示しにならない雰囲気なのに、即時に注文を頂けたり・?・?・?。
打ち合わせ中、絶えず、いま何をお考えなのか?の考察が必要だと思うが・・・価格交渉の際も同じだよね・・・欲しいのが読心術、これは、おそらく心理学の分野だろうね・・・・』

全く、同意でありまして、以降は『心理学』的な視点で、ノウハウを蓄積していきました。
アンリツに転職して、キーエンスとの受注競争の際、お客さまのご要求内容では、全く甲乙つけがたい・・・さらにキーエンスは激安の価格提示・・・。そんな時に、やぶれかぶれのトークで逆転勝ちした手法もあります。緊急事態(ピンチ)だったので、私は、【スクランブル話法】と命名しています。

【失注しない】【1円でも高く売る】を目標とした『クロージング能力の向上を図る、研修やセミナー』の場では、対ライバルに勝ち抜く思考編に続いて、実際の営業で頻発するシーンを再現します。
その実践編では、私の頭の中からひねり出した17程度の事例(一問一答)をご紹介していきます。
ほとんどが、ライバル会社のアンリツ勤務当時に、対キーエンスで培った手法です。

うっかりしてしまう(注意したい)話し方に始まり、対面セールスの営業担当者に必要な、How(具体的に・どのように)?にお客さまに伝えるかを、即日から実践できるように可視化してお伝えしています。もちろん、精神論でなくロジックな戦術です。

ありがたいことに、今年の新年から、受講された方の累計(延べでなく実数)が、4月末を持って、ついに70名を超えました。

御社でも『ノウハウをルール』にして、ライバルに競り勝つクロージング能力を強化いたしませんか?

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