本日は、平成29年(2017年)9月13日水曜日
【東京・四ツ谷の経営コンサルタント 元キーエンス社員、中小企業診断士の立石です】

今回もズバリ、創業まもない中小企業の経営者の皆さま、そして大手企業の新規事業部門の責任者の皆さまへ、
製造業専門の経営コンサルタント(中小企業診断士)として語ります。
「皆さまの会社も、キーエンスと同じ成長ができるはずです」と。

キーエンス創業者のブレの無い方針『残業代は全額支払う』は、
前回綴った【会社を永続させる】(記事はコチラをクリックしてください)ために、
考え抜かれた方策のひとつだったと思います。

ここ一番、働きどきの【残業】。
これから起業される方、新規事業部門のトップとなられる方が知っておきたいこと

残業を巡っては、さまざまな意見があると思います。
全て【NG】というお考えもあります。それも間違っていないと思います。

対して、私は残業について一貫した考えを持っています。
まずは、残業について【NG】(アウト)のケース
・身体を壊す残業(長時間労働)や、残業代未払い・・・ともに完全に【NG】(アウト)
・そして『くだらない業務が減らないまま、残業を実施する』も【NG】(アウト)であります。
私の見解では、以上の残業がある会社は、
昔も現在も、ブラック企業だと思います。

もちろん、私が勤務していた当時のキーエンスでは、
上記の【NG】(アウト)残業とは、一切無縁であったと誓って断言できます。

そして、同時に申し上げておきたいことがあります。
残業は【OK】ではないのですが、場合により【止む無し】であるとも、
考えています(必要悪といったところでしょうか・・・)。
例えば、創業まもない企業の残業。
BtoB(企業間取引)の商慣習では、代金は、商品やサービスを納入した後に支払われます。
つまり、現金(利益)を早く手にしたければ、ご注文頂いた商品やサービスを、
速やかに完成させ、納入する必要があるのです。
完成途中には、ミスが発生することもあるでしょう。
お約束した納期を守るためには、手直しの時間が必要となります。
また、ライバル会社と差別化する手法のひとつとして、
短納期(仕事が早い)があります。
早い対応・早い仕事は、お客さまの強い支持を受けます。
短納期(仕事が早い)の実現には、とても残念なことですが、
残業が立派な戦術となりうるケースもあるのです。

昔も今も珍しくは無い、起業家のブラックな働き方

私は、経営コンサルタント(中小企業診断士)として活動しておりますが、
クライアント先には、創業間もない小規模企業で、経営幹部(役員)の方はいても、雇用する従業員がゼロという会社もあります。
実績が少ない・ブランドも無い、創業まもない頃、
お客さまの信頼を勝ち取るため、社長さんや経営幹部の方が、
信じられないほどの長時間労働に徹している会社は、珍しくありません。
まさに、世間でいうブラックな働き方です。
平日は早朝から深夜まで、土日もお仕事
(土日に、次回の業務依頼やご相談のメールが来ます)
・・・黎明期の企業に対する経営相談の開始時刻は、
世間の会社の定時退社時刻(17時台)以降なんて当たり前です。
社長さんの出張先から連絡が入り、
【これより会社に戻ります。緊急にご相談頂きたいので20時開始でお願いいたします】という、
ご依頼も珍しくありません。
(余談ですが、対応する経営コンサルタントの側も、
定時退社のサラリーマン感覚では務まらないと思います:覚悟された方がいいと思います)。

私が、いわゆる定時後に対応する理由は、
キーエンスの創業者と同じ思考「(非常に残念なことであるが・できれば回避したいが)成長するためには、 長時間労働も止むを得ないという場合がある」という持論について、 賛同しているからです。

ブラックな働き方を、従業員には要求できないという現実

ブラックな働き方をする社長さんや創業メンバーの方は、
一生懸命働いてから報酬を得るという思考です。
残業代は支払わない(実は、現在支払う余裕がない)。
そこで、残業代の代わりに、お客さまの代金から得られた利益を、
後に賞与等で支払うという考えがあります。
中には、経営者の考えに賛同する社員の方がいます。
「いまの仕事はやりがいがあります。残業代は不要です。社長とともにがんばります。その分、次の賞与をドント支払ってください」。経営者にとっては、”とてもありがたい人材”です。

ところが、従業員の考えは、経営者が思っているほど均一ではありません。
以上のブラックな働き方を、雇用する社員に等しく要求できないのです。
残業代の未払いは違法である以上、「やりがいなんて要らないので、残業代ください」という意見が、 正しいからです。

関連して、キーエンスの創業者が、
我々、新入社員むけの講話の中で、チラッと話されたことがあります。
『過去に廃業した会社で、ここ一番、残業が必要な時に同意されない社員もいた
・・・但し、それについては強く反省する必要がある』、
おそらく、その反省から【残業を要求するなら、残業代を全額支払う】という、 方針が生まれたのだと思います。
そのブレの無い方針が、その後【会社を永続させる】ことは勿論、
増員に際して、優秀な人材の確保の点で優位になったことは、
キーエンスが証明しています。
今回のテーマは、あたりまえのことかもしれません。
しかしながら、黎明期に残業代の全額支給を
公言(有言実行)されている企業がどれだけあるでしょうか?
社員に残業を要求しながら、残業代を払えないのなら、
むやみに増員してはいけないということですね。
これは『最小の資本と人で最大の付加価値をあげる』という
キーエンスの経営理念を、お手本にしなさいという教訓かもしれません。