本日は、平成29年(2017年)10月8日日曜日
【東京・四ツ谷の経営コンサルタント 元キーエンス社員、中小企業診断士の立石です】

今回もズバリ、創業まもない中小企業の経営者の皆さま、
そして大手企業の新規事業部門の責任者の皆さまへ、
製造業専門の経営コンサルタント(中小企業診断士)として語ります。
「皆さまの会社も、キーエンスと同じ成長ができるはずです」と。

現在の起業ブームに、水をさすようで恐縮なのですが、
起業後は、全て順調に進むとは限らないようです。
一説によりますと、
起業してから、1年以内に約半分が廃業、5年以内に約8割が廃業
・・結局10年事業を継続できる方が1割程度らしいです。
まずは慎重に・・・といったところでしょうか。

私の経営支援分野である【BtoB(企業間取引)・製造業】でも、
その厳しさは変わりがないのですが、
オリジナルの技術・商品をもつ企業は、
起業当初の「壁」は、難なく乗り越えられている印象があります。
そう、黎明期のキーエンス(旧社名 リード電機)と同じです。

但し、オリジナルの技術で、事業の継続ができても
「利益が出にくい」という状況に陥っている企業は、少なくありません。
利益が出にくい原因のひとつが、結局【下請け体質】になっているからです。
同じ悩みをかかえておられる経営者の方も、
このブログ記事をお読みになっていられるのではないでしょうか?

「一番楽チンな営業とは(理想?)」

営業研修の冒頭で、時々お話しする話題をひとつ。
私が社会人になる1980年代より、はるか以前の高度成長期には、
そう珍しくなかったことのようですが・・・

その楽チンな営業とは?
具体的には、取引先は1社。
発注されるお客さまの窓口は、おひとり。

年度始めに訪問した時点で、この先1年分、
昨年と同じ商品が一括発注されます。

この時点で、本年度の売上目標予算は達成確実。
注文書を受けとった営業担当者の本音・・・
「ああ、本年度も仕事は終わった。前年度同様、
平日の時間があまって仕方がない。さて、今年は何をしようかな?」
(もちろん会社では、話せないことです)。
この話題、私が真顔で話すせいもあってか、受講される方から毎回笑いを誘っています。
営業担当者として、おそらく最高の理想を語りましたが、現実はそうはいかないですね。
ロジカルに「ダメだし」してください。

おわかりの通り、特定の取引先に依存するのは、リスクがあるということですね。
特定の顧客に依存すると、結局は下請け体質に組み込まれて利益が出なくなる。
また、突如契約を打ち切られたら、経営危機に陥る場合もあります。

研修等でこの話題を、冒頭でお話しする理由は、
受講される皆さまに「新規取引先を増やす重要性」について、改めてご認識頂くためです。

短期的な売上高より、高収益企業を目指した
黎明期(リード電機時代)のキーエンス

1974年(昭和49年)創業時のキーエンス(社名はリード電機)は、
翌年にオリジナルのセンサを発売いたしました(ちなみに、
この創業直後のセンサは、2017年9月現在も販売を継続されているようです。
驚きのロングセラーですね)。
但し、創業当初はセンサの売上比率は低かったようで、
事業をセンサ関連に特化したのは、
センサの分野で様々なヒット商品を連発した、1980年頃だったと聞かされました
(例えば「2枚送り検知器」→コチラをクリックしてください)。

その後、私が新卒入社した1987年(昭和62年)。
創業者の講話の中で、そのセンサに関して、
「過去にOEM生産受託の大口引合案件があったが、
経営判断で断った」という、お話しがありました。

経営者の方(特に中小企業の社長さん)のなかには、
「えっ?そんなチャンスを何故逃がす?」と
不思議に思われる方が、いらっしゃると思います。

創業者の当時の経営判断は、
冒頭で綴った「特定の取引先に依存するリスク」を
考慮してのことに、他ならないですね。

もし、この大口案件を受注していれば、
会社は永続すれども、キーエンスが高収益企業になることは、
難しかったのかもしれません。

高い利益を獲得するためにも、
「特定顧客に依存せず、たくさんのお客さまに【自社で売る】」という方針に
舵を切られたのも、この頃だと思います。

1987年、キーエンスに新卒入社後、
営業所に赴任してから、経営幹部や直属の上司から、
常に意識させられたことがあります。
とにかく「新規の取引先を増やすこと」。
思い返せば、このスローガンにも似た方針は、
創業者の執念だったと思います。

入社した1987年度の売上高が100億円を突破。
浅い記憶ですが、当時の取引先が3万社を超えていたと、
過去に綴りました(→コチラをクリックしてください)。
創業者の経営方針通り、特定顧客への依存度を下げることに
成功していたのであります。

世間では難しいとされる、
たくさんのお客さまに【自社で売る】こと

【自社で売る】、キーエンス流で言えば、外の誰にも頼らず、
自社でPRして、自社の営業担当者が、
たくさんのお客さまと新規の取引を実現する・・・企業としては理想であります。

ただ、口でいうのは易しいことですが、現実は、
そう簡単ではないと、理解とされていると思います。

ここで敢えて申し上げたいのですが、
現在の3000億円企業・営業利益率50%超のキーエンスを真似ることは無理でも、
1980年代の下請け体質脱却・成長については、
ただいま創業まもない中小企業の経営者の皆さま、
そして大手企業の新規事業部門の責任者の皆さまも、
いわゆる【考え方次第】で、実現できるのではないかと思います。
以下は次回に。

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