本日は、平成30年(2018年)1月20日土曜日
【東京・四ツ谷の経営コンサルタント 元キーエンス(→アンリツ)社員、
中小企業診断士の立石です】

前回に続きまして、
いわゆるレーザ光を用いた非接触変位計、
私が惚れ込んだ、アンリツの(光マイクロ®)について綴ります。
光マイクロは、キーエンス勤務時代にライバルとなった機器で、
その性能に、私は圧倒されたのであります。
(光マイクロは、アンリツ株式会社の登録商標であります)。
今回は、前回綴った直線性とは異なる性能項目、
【繰返し性(くりかえしせい):Repeatability】について綴ります。

以下の写真や記事は、
光マイクロ 総合カタログ CAT.NO.46368-2からの抜粋・引用となります。
photo:カタログP2頁より抜粋
photo:カタログP14頁より抜粋

アンリツの【光マイクロ】®の性能項目、
【繰返し性:Repeatability】

下記は、総合カタログP25『用語説明』からの抜粋です。

技術的な用語が並んでいますので、簡単に補足いたします。

標準資料(鏡面)を、光マイクロの測定範囲内に置きます。
この静止状態での『ノイズ成分(バラツキという用語が最適?)』を、
【繰返し性:Repeatability】とすれば、よろしいかと思います。
光マイクロKL130Aの最小読み取り値(表示部)は、0.01μm(1/10万mm)です。
光マイクロのMR(測定範囲:メジャーレンジの略称)=KL130Aでは160μm(‐80μm~0~+80μm)。
測定範囲内であれば、スイッチ操作で表示値を任意にゼロにすることが可能でした
(もちろん元の80μm~0~+80μm範囲設定に戻すのも、ワンタッチです)。
静止状態ですので、理想としては表示が0.00μmキープしていれば最良ですが、
測定機器である以上、最小桁がパラパラと変動します →例えば、+0.02μm・・・-0.01μm
この誤差ともいえる変動幅が、性能項目である
【繰返し性:Repeatability】であるわけです。

【繰返し性:Repeatability】は設定ひとつで、向上させることができます

前回まで綴りました、性能項目(絶対精度といえる直線性)とは異なり、光マイクロの表示部の設定で、最小桁がパラパラと変動することを抑えることができました。

光マイクロでは、測定値を高速で連続取得しています。さらに、その測定値を平均して演算する機能を持っていました。表示部で簡単に設定できます。光マイクロでは、16段階からの選択(演算の平均回数1回~最大32768回)が可能でした(他社にも、類似の機能があったと思います)。

平均演算の処理は、パラパラ変動するノイズを抑えることにつながります。機能として、平均回数を上げたほうが【繰返し性:Repeatability】が向上します(静止状態での表示が0.00μmに、より近づくということです)。

アンリツの演算回路では、上記のカタログの説明にある通り、平均回数を16回に上げると、
【繰返し性:Repeatability】が4倍向上(ノイズ成分が1/4)するということです。
では、その【繰返し性:Repeatability】。
カタログに記載されていた値をご紹介いたします。

【繰返し性:Repeatability】
±0.05μm(1回平均)
±0.01μm(16回平均)

1回平均でも高精度。また、16回平均となると当時の最高レベルです。
16回以上の平均回数に設定すると、表示が0.00μmでピタッと安定。
展示会やお客さまへのデモ訪問の際に、
ゼロセットをお見せすれば、お客さまは光マイクロの
高性能を、すぐに理解されました。
『すごく安定していますね・・・』

実際は、カタログ表記以上の性能があることが判明・・・

やや細かくなりますが、この【繰返し性:Repeatability】は、
お客さまサイドでも簡単に確認できる性能項目でありました。
表示部から、16μmに対して1V(=1000mV)の比率で
アナログ電圧が出力されていました。
0.00μm表示の際、電圧は0V出力されるのですが、
オシロスコープに接続して波形を拡大すると、ノイズ成分があり、
それが【繰返し性:Repeatability】なのであります。
(16回平均)でノイズ成分が0.625mV、
∴【繰返し性:Repeatability】±0.01μm(16回平均)ということであります。

光マイクロを購入されたお客さまからの嬉しいご連絡

光マイクロを購入され、出力を利用されていたお客さまからです。
平均回数16回以上の設定で、ノイズ成分を実測。
『実際は、±0.01μmより高い精度ですよ』と。

新カタログ(今回抜粋分)を作成している際、
制作に注力されていた先輩ととともに、
開発・設計のエンジニア部門に相談いたしました。
平均回数を順次上げていき、
いわゆる限界性能(どこまで繰返し性が向上するか)を
表記したほうが、キーエンス他ライバル会社を更に圧倒できるのでは?と。
開発・設計のエンジニア部門で、即時の検討実施で結果発表!

抜群の【繰返し性:Repeatability】。
±0.01μm(16回平均)と
±0.005μm(512回平均)!

その±0.005μm(512回平均)
光マイクロ 総合カタログ CAT.NO.46368-2の『P12』の際に盛り込んだ内容が以下です(抜粋いたします)。

表示分解能0.01μmなのに、
【繰返し性:Repeatability】が±0.005μmという事実

表示部の分解能が0.01μm。
【分解能】(最小読み取り値)の記事がございます>>>コチラをクリックしてください
商品化段階で、もうひとつ下の表示があったほうが、
良かったかもしれません(笑)。
でも、そこは実用上の使い方も考慮される
アンリツの開発・設計のエンジニアの方々。
限界性能については、あまり強く主張されません。

実用といえば、上記に記載されている安定度(±5℃)。
アンリツに転職して、初めて知った規格です。
次回は、その安定度について、綴りたいと思います。