本日は、平成30年(2018年)2月12日月曜日(祝日)
【東京・四ツ谷の経営コンサルタント
元キーエンス(→アンリツ)社員、
中小企業診断士の立石です】

今回のシリーズ「脱サラで独立?」。
経営コンサルタント(中小企業診断士)として、
【失敗を回避】する為の、簡単な基礎の基礎を綴りましたが、
ありがたくも反響が大きかったので、続けて参ります。
ご覧いただき、ありがとうございます。

今回も、基礎の基礎の概略でありますが、
事業経営で重要な【数字】について、
ロジカルな内容を
お伝えしたいと思います。

前回まで綴った内容で、事業を継続するには、
日々の収入(売上高)のみではなく、
利益(正確には利益額)を獲得することが、
より重要だとお気づきになられたと思います。

とにかく赤字はダメ。
それでは、事業経営で黒字と赤字の別れ目の
主要因は何なのか、「数字」で考えてまいりましょう。

起業ブームで、
たくさんの情報が発信されているおかげでしょうか?
脱サラで独立の際は、初手に経費をかけない!という考えが
以前に比べて浸透しているような、気がいたします。

固定費と変動費

利益をたくさん獲得するために、
とにかく減らしたいとされる費用ですが、
固定費と変動費に分けることができます。

固定費とは、売上高と関係なく(売上高がゼロでも)、
毎月一定に支払が必要な経費です。
給料や事務所の家賃等は、固定費です

この固定費の回収(固定費を利益で賄うこと)に、
毎年頭を痛める法人のトップ・個人事業主が、
多々いらっしゃる現実があります。

当然ですが、
事業年度1年分の固定費を回収できなければ、
赤字になるのであります。
それを回避するため、独立当初は、
固定費になる人を雇うことや、高い家賃の事務所は
避けた方がいいと言われる所以です。

一方、固定費に対して、変動費があります。
簡単に言うと売上高に比例して増える経費です。
例えば、小売では、
卸売等から仕入れる代金、包装紙等と考えればいいです。
(在庫の扱い等、詳細な項目がありますが、
今回は基礎の基礎でざっくりで、単純化して)、
売れた時だけに発生する、費用だといたしましょう。
飲食業で言えば、肉野菜等の材料費を想定して頂いて、
よろしいかと思います。

事業計画のひとつとして検討したい『目標売上高』

前々回に綴りました確定申告。
所得を計算して支払う税額を決める為、
帳簿の作成(結果)は、もちろん必要です
(いわゆる事後の必須業務ですね)。

それとは別に、独立される前に、事前に検討したい数字があります。
それは、
(毎月)どれくらいの利益を確保したら赤字を回避できるのか、
その利益を獲得できる売上高は、一体いくらなのか?
概算でもいいので、この『目標売上高』を検討することが肝要です。
(いわゆる事業計画のひとつであります)。
【数字】=『目標売上高』の算出という、ロジカルな検討手順を踏むことで、
場合により『これでは赤字確実、間違いなく失敗するから独立は見送り』と
いうケースも、でてくることでしょう。
私は、ロジカルな数値をもとに
『むやみに独立をススメナイ』ことも、信条としています。
起業ブームに背を向けるようですが、
経営コンサルタント(中小企業診断士)としての、
正しい方針だと思っております。

事例で毎月の『目標売上高』について
計算してみましょう。

事例として、
融資無し。設備投資も無しのスモールビジネス
(小売といたしましょう)。
販売する商品は、1種類のみです。
固定費:家賃など月額30万円。
変動費:1個あたりの販売に際して、
商品の仕入れ単価や包装紙等をまとめて、
1万円といたします。

若し、月の売上高がゼロなら、
仕入れ等にあたる変動費もゼロですが、
当然、その月は固定費相当分である30万円の赤字となります。
では、その月の売上高が30万円なら赤字にならない?
・・・違いますね。
これまで綴ってきましたが、売上高≠利益ではないからです。
売上高-変動費=利益(専門的な用語ですが限界利益)が
毎月30万円あれば、赤字にならないということです。

今回、その赤字とならない売上高を求めて参ります
(まずは、逆算で求めるイメージです)

変動費である商品の仕入れ等は1万円と決まっています。
では、ここから経営者としての判断が必要です。
→販売価格(値付け)を決めてください。
仕入れ等で総額1万円かかる商品、
お客さまにはいくらで売りますか(販売価格の決定)?
もちろん、原価割れ(1万円以下)で売ることはNGですね。
理由は、売れば売るほど赤字が膨らみますね。
(原価割れの販売は、限界利益がマイナスとなるので、
固定費の回収も無理、総額の赤字が30万円以上となります)。

仮に販売価格を4万円に決定すると、
1個売ると限界利益が3万円(4万円-1万円)。

固定費30万円を賄うのに等しい限界利益を獲得する為の販売数量は、
固定費30万円÷限界利益3万円=10個の販売が必要です。
決定した商品の販売単価は4万円。
∴販売価格4万円×10個→月額40万円の売上高が必要となります。
この月額40万円の売上高は、赤字ではありませんが黒字でもありません。
つまり収支トントン。これを[損益分岐点売上高]といいます。
(赤字を回避する)毎月の最低限必要な売上高となります。

また、獲得したい目標利益月額を30万円として追加すると、
月額の目標売上高は=80万円となります。
確実に、目標売上高>損益分岐点売上高となるはずです。
(一発で計算できる式もございますが、今回は省略いたします)。

以上のような、『目標売上高』を計算した上で、
次に、その実現可能性を検討いたします。
これもロジカルな思考が必要です。
続きは次回に