本日は、平成30年(2018年)4月14日土曜日
【東京・四ツ谷の経営コンサルタント
元キーエンス(→アンリツ)社員、中小企業診断士の立石です】

B2B(BtoB:企業間取引)製造業・訪問営業ビジネスを展開する企業が、
新規取引先を増やして売上高伸長+自社企画の商品開発を実現する・・・
前回綴りましたが、
その実現を目指す手法は、【たくさんの見込顧客に対して、長期継続フォローを実施する】ことに
尽きると思います。

ところが、イザ『長期継続フォローの実施』となると、
簡単なようで、実は【難しい】・【成果が上がらない】ということを
体感されている方も多いと思います。
その主な理由は、下記の2つではないでしょうか?

[1] 長期継続フォローには、営業担当者に一定のスキルが必要である

[2]  人(営業担当者)の記憶には限界がある。

ひとつひとつ綴って参ります。

[1] 長期継続フォローには、営業担当者に一定のスキルが必要である

新規取引の実現が見込まれる、現在進行形の商談であれば、
次ステップのアプローチ(例えば訪問)は、
それほど困難ではないかと(お客さまも、
お待ちになられているはずです)。

ところが、営業担当者がいかに熱心であっても、
現時点で引合・商談に至らないお客さま、
あるいは(かつて引合・商談案件まで進んだが)
受注に至らなかったお客さまへの
継続アプローチは意外と難しいのであります。

訪問や電話等のアプローチ攻勢をかけると、
「しつこい営業」・「ウルサイ会社」と
逆効果になる場合があるからです

キーエンス勤務時代に実際にあった、
迷惑な電話アプローチ(強制)

キーエンスは、外部環境に変化して成長した企業であることは、
間違いありません。
何度か綴っていますが、私が入社した1987年前後に、
ひとつの大きな環境変化がありました。

当時のキーエンスは、
オリジナル商品の展開から、更なる成長を目指して、
まさに大手ライバル会社との競争を志向し始めた頃です。

従前のオリジナル商品というものは、購入前提の引合が殺到。
新品をテスト機として無料貸出→受注というビジネスモデルで成長。
(おそらく業界初であろう、
新品を用いたテスト機無料貸出のシステムについては
>>>コチラをクリックしてください)。

有望な商談、購入前提の引合なら、新規のお客さまへのアプローチも簡単。
むしろ、アプローチを積極的に行わなければなりません。
それが起源で、
「電話発信時間・件数」という、評価項目が生まれたのだと思います
(フォロー漏れが無いように・・・といった趣旨でしょうか)。
外出の無い日は、営業所で終日の電話営業
「1日50件かつトータル150分以上の電話発信」というルール。
(関連記事は、>>>コチラをクリックしてください)。

ところが、キーエンスが本格的に志向した基本的センサや、
私が、担当した精密計測機器は、既に大手企業が市場で先行。
かつてのオリジナル商品のような、購入前提といった引合は、
ごくわずかであったのです(夢のまた夢)。
さらに、オリジナル商品自体も飽和になってきたのか、
新規のお客さまからの有望な引合も、減少し始めたのであります。

こういう外部環境が変化している一方、
旧態依然に「電話発信時間と件数」のノルマを課して、
大騒ぎ(叱責)している、一部の経営幹部の存在には、
正直がく然としてしまいました

とにかく、ノルマをクリアする為に、
工夫の無い営業担当者が、
「何かありませんか?(注文ください)」
「以前、引合頂いた商品、その後いかがですか(注文ください)」と、
愚直に電話を繰り返します。

当時は、ユーザー1社につき、
製品(事業部)別に、3人の営業担当者がいたわけですから、
運の悪い?お客さまにとっては、迷惑千万このうえなしです。

予想通り、耐えかねたお客さまから
クレームが入ります(業務の邪魔だと)。
あわてふためいた、当該の経営幹部は、
「何かありませんか?といった、電話はするな!」と注意喚起。

『では、どういうふうにアプローチすればいいのですか?』には
残念ながら、答えをだせないのです。
それでいて、
電話発信のノルマは取り下げられることはありません。
機会あるごとに、キーエンスの創業者が語る【お客さま第一】に
反する活動だろう?と、
腹立たしく感じることでもありました。

ただ、会社勤務時代の私には、ひとつのモットーがありました。
『(外部環境の変化に対応できない(考えて行動しない)人物には、深く関わらない・・・
これで、感情論はスルーです
基本に立ち返り、
【成長する企業では、後に入社する者(優秀な者)が解決する】と自身に言い聞かせました。
(幸い、私にはその手の苦情はゼロでありました)。

迷惑とならない・歓迎される『長期継続フォローの手法』の探究と確立

迷惑電話は問題ですが、
長期継続フォローが必要なのは事実です。
論理的に【お客さまの迷惑とならない電話アプローチ手法】って
果たして存在するのか?・・・相当考えました。
結果、ライバル他社は勿論、
社内のほとんどの営業担当者が気づいていない
独自のアプローチ手法の発見で、すべて解決したのであります。
迷惑電話があるとのお客さまに、実際に電話した際も、
「あっ、○○(営業所)の立石さんですか?」と
歓迎される機会が増えます。
「近くにお寄り際は、いつでもお越しください
正門の守衛所には申し伝えておきますので・・・」
(事前アポイント不要、まさに顔パスです)
まさに、長期継続フォローができるようになったのです。
お客さまの満足を得る(フォローを希望される)わけでから、
当然業績は伸長。
私を育成して頂いた、グループの先輩方を差し置いて、
営業表彰を受けるに至ります。

また、転職したアンリツで得た「長期継続フォロー」のスキルもあります。
拠点勤務時代、直属の上司(営業部長)の影響も大きかったです。
さすが、「人(お客さま)の心が、わかってらっしゃるな・・・」と。
直属の上司(営業部長)については、>>>コチラをクリック

研修で修得・実践できる「長期継続フォロー」の手法

キーエンス時代に発見したこと+アンリツで得たこと+自身で考えたことのトータル。
自分自身では、簡単なことだと思っていました。
ところが、営業部門むけ研修で、この『長期継続フォロー』のテーマを実施すると、
ほとんどの企業で、
『ライバル会社に差をつける、自社の新たなスキル・ノウハウ』として
評価・歓迎されます。

その内容は、「自分自身を売り込め」などといった、
ごく一部の営業担当者しか、
実行できないことではありません。

やはり、営業担当者全員が実践できる(簡単にできる)内容で
あることがが肝要です。
長期継続フォローが可能となるように、
やるべきことをマニュアル化(文章化)していますので
研修で身に着ける手順が、最も効果的だと思います。

次回は、長期継続フォローが実践できない、もうひとつの理由
[2] 人(営業担当者)の記憶には限界がある・・・について、
対策(仕組み)も含めて綴りたいと思います。