本日は、平成30年(2018年)7月1日(日)
【東京・四ツ谷の経営コンサルタント
元キーエンス(→アンリツ)社員、
中小企業診断士の立石です】

先日のブログで、キーエンスの平均年収(年間平均給与)が
2000万(平均年齢35.9歳)を超えた旨、綴りました。
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昔も現在も変わらぬ・採用(後)の厳密なルール。
「採用した正社員は、簡単に解雇できない」。

もちろん、キーエンスでも同じです。
これまで、キーエンスが希望退職を募ったということは
聞いたことがありません
(上場企業では、適宜公開される有価証券報告書から事実を
読み取れますから、隠しようがありません)。
(ちなみに、私がキーエンス退職後、
転職した当時のライバル会社であるアンリツ。
業績低迷の結果でしょうか?
事実として、私が退職して独立した数年後あたりから、
2回ほど大幅な人員整理を実施したとか。
約1000名近くの正社員が、会社を去ったと聞いています)。

現在のキーエンスも、私が入社した30年前当時と変わらず
「最小の資本と人で最大の付加価値をあげる」の下、
正社員の増員には、慎重であることには間違いないはずです。
それが、破格ともいえる平均年収(ただいまの年間平均給与2000万超え)の
要因のひとつだと考えます。

その背景を、体験を交えた上での私見で綴ります。
かなり、ミクロ化したモデルの例示で説明いたします。
世間一般の企業で、業務が多忙との理由で、
仮に正社員3名の増員計画が有るといたします。
・・・ところが、キーエンスでは、
同じ採用手法を行わないはずです。

3名分の仕事。
キーエンスでは、他社のように安易な増員の前に、
業務自体が厳密に精査されるはずです。
まず、1名分の業務は、もともと必要のない(利益とならない)業務と
判断されるでしょう(効率化が進んでいるからこそ、可能となる)。

よって、増員は2名で十分。
さらに、2名分のうち1名分の業務は必要ではあるが、
正社員でなくても遂行できる業務として判断されることでしょう。
つまり、その業務はパート社員等の活用等で遂行されるわけです。

私が、営業所で勤務していた当時、急成長もあって、
営業事務(女性)の業務が相当増加していき、
連日19時前の退社が困難になりつつあったと思います(パンク状態かと)。
その時の増員。
午前10時から16時までのパートタイマーの女性を採用していた記憶があります。
また、今ではあたりまえかもしれませんが、30年以上前から
【人材派遣会社】の活用も図っていたのです。

もっと踏み込めば、キーエンスでは全部門に正社員が配置されているはずですが、
全社員が正社員ではないはずです。
以上の採用手法の結果、当初増員予定の正社員3名分の総賃金の配分において、
増員される1名の正社員の賃金は、少なくとも世間の1.5倍以上であることが
理論上可能となるのです。

一般の会社と大きく異なる、キーエンスでの正社員の役割

たとえば、キーエンスの直販営業担当者。
もちろん連日の残業をこなすとともに、
正社員以外では代替できない業務(高い利益を上げること)に特化しているはずです。
つまり、キーエンスの正社員は、他の人で代替の効かない業務を遂行する
ある意味で【希少な人材(人財)】なのであります。
→入社後は、出身校、偏差値等については評価の対象外ですが、
入社時点では、超難関の競争率を突破する必要があります
(この点からも希少)。

以上のことは、世間一般の護送船団方式
(業務内容・成果・残業時間にかかわらず、全員が平等の賃金を志向)の企業では、実施できない(簡単に変えらない)ことなのであります。

前回からの、
主題【キーエンスの平均年収2000万円超え!対する貴方の年収を増やすには?】に戻ります。
今回含めて2回綴りましたが、高い賃金を獲得するには、
経営トップの確固たる方針が不可欠だということです。

一方、現在キーエンス以外で働く方からは、
「どうにもならないじゃないか?」との
不満も聞こえてきそうです。

護送船団方式の環境下で、どのようにすれば高い報酬を得られるかについて、
経営側ではなく、いま働いている方の視点で、
次回綴ってみたいと思います。