本日は、平成31年(2019年)4月7日(日)

【東京・四ツ谷の経営コンサルタント
元キーエンス(→アンリツ)社員、
中小企業診断士の立石です】

キーエンスに新卒入社して真っ先に教えられること・・・
本日のテーマは、『愚直に繰り返すこと』です。
以前綴った『Volume(量)をこなすこと』と
関連することでもあります

実は簡単なこと『営業を科学する』

キーエンス出身者から出る言葉、『営業を科学する』。
初耳の人によっては、時に「へえー」と感嘆の声が上がりますが、
実際に勤務経験のある方は、驚きはしないと思います。
科学といっても、メインとなる考え方のひとつが、
簡単な確率論に過ぎないからです。

キーエンスに限らず、
B2B(BtoB:企業間取引)・訪問セールスの製造業の分野では、
引合(特に新規)の商談が、100%受注には至りません。

今回は、おおまかに綴りますが、
簡単な式を下記に記します。

受注(新規取引先も含む)を増やすには?

商談を増やす
その実現のために、プロセス管理項目を重視する
(但し、他の企業でキーエンスのプロセス管理項目を、
そのまま真似して導入しても、うまく回りません
以前綴りました)。

予算実績評価のみの暗黒時代から
プロセス項目を正当評価する会社に変革(離職率が低下)

私が、入社した1987年当時は、プロセス項目もあるにはあったのですが、
営業担当者の最終的な評価は、ほぼ売上実績(正確には成果)次第。
上客をもっている等、営業成績は運の良し悪しというシーンも多々。
つまり、工夫や地道な努力(営業活動)をする営業担当者が、
損をするといった、不都合もありました。
当時のキーエンスは、現在のような高い年収では無い企業。
徹底した予算結果主義の下、ごく一部のブラック幹部の存在もあって、
一切の弁明を許されない職場環境が醸成され、退職者が続出・・・
全社的で無いにしても、私が所属していた営業所等々では、
正直言って、暗黒の時代でもありました。

それではマズイと、予算実績結果の評価だけでなく、
プロセス項目も追加するという発想は、
私が在職中、直属の上司から事業部長に発案したものです。
その後、キーエンスの創業者の論理的思考にマッチした為、
全社的に採用されたのだと思います。

結果、日頃の営業活動での努力や工夫も、
正当に評価される・・・
私が勤務していた当時に比べて、
現在のキーエンスの離職率が大幅に低下した(改善された)要因の
ひとつに違いありません。

ひたすら『愚直に繰り返すこと』

特に新卒営業担当者には、
ひたすら『愚直に繰り返すこと』を求められるはずです。
『愚直に』は、【真面目に】と、
置き換えても良さそうです。

週2~3日の外出の際は、『1件でも多く訪問する』。
外出しない日は、営業所でお客さまへの発信電話を増やす等々、
営業担当者の、やるべきことは定型化しています。

その決められたことを、
『愚直に繰り返すこと』で、商談が増加し
結果的に売上高が伸長するわけです。

現在のキーエンス営業部門では、
工夫・改善の余地が無いほど、
業務が高度化(かつ標準化)されているはずです。

そういう意味で、現在は『愚直に繰り返す』ことを厭わない、
ストレス耐性のある方を選んで、営業担当者を採用されていると思います。
(一度綴りました。潜水艦の搭乗員のような方々では?と)。

以上、キーエンスは世間の企業より一段厳しいようですが、
よくよく考えてみてください。
キーエンスの営業担当者として働くことは、幸せだと思います。
理由は、
先輩から、直に営業のスキル・ノウハウを学べる
→新人を熱心に教育しない会社が、世間にはあまたあります。
『(経費やしがらみを気にせず)量をこなせる
→奮闘しようにも、量をこなせない制約(足かせ、足手まとい)だらけの会社が、
世間には少なくありません。

つまり、与えられた基本を『愚直に繰り返す』だけで、
営業担当者が確実に成長できる会社が、キーエンスなのです。

新人も含めて、真面目な営業担当者が正当に評価され、
売上高(利益)が伸長する会社。
その効果が『高い収入』なのですから、
今現在のキーエンスが、ブラック企業であるはずがありません。