本日は、令和元年(2019年)9月23日(月/祝:秋分の日)
【東京・四ツ谷の経営コンサルタント
元キーエンス(→アンリツ)社員、
中小企業診断士の立石です】

(本日は【デジタルマーケティング】関する連載記事はお休み、
何卒ご了承ください)。

B2B(BtoB:企業間取引)・製造業では、土日連休の会社が大半。
月曜祝日で、三連休の企業も多いかと存じます。

その三連休ラストの本日、
働き方改革に何か逆行するようですが、
特筆しておきたいことを綴ります。

おとといの9月21日の土曜日は、企業内研修の講師拝命。
ここ最近の私は、暦上の三連休を満喫した経験はありません(本当)。
ただ、それは不満ではなく、むしろ大歓迎なのであります。

というのも、これまで土曜日に研修を依頼された企業の全てが
持続的に成長中、あるいは以降の更なる成長が、ほぼ確実だからです。

BtoBの製造業で働く人にとって、土曜日休めないのはウンザリ。
これは私も経験しています。

私が勤務していた当時のキーエンスは、毎月最終土曜日が出勤
(現在は、土日はお休みになったはずです)。
新卒入社同期を対象に(中途採用者は、同年入社でも別日実施)
定期的な集合研修がありました。

4月入社の初年度、試用期間は3カ月間。7月正式採用のあたりに集合研修実施。
続いて1年後の研修・・・。
当時は、外部講師による研修が表向きのメニューでした。
しかし、新卒者むけ研修のメイン(もっとも重要なこと)は、
必ず冒頭に設定されたプログラム【創業者の講話】に間違いありません。

外部の講師が『講話を伺いたいと』申し出でも、もちろん丁重にお断り。
キーエンスでは、【あらゆる情報は、社内にはオープン・外部には非公開】
創業者の方針にブレはありません。

脱線しますが、あるとき同席させて欲しいと、
何度もしつこく食い下がる、外部講師がいました(正直言って無礼者の類いです)
いつも冷静で紳士的な創業者が、最後はやや声を荒げて
会場から退場させたことがありました
(初めて見た意外ともいえるシーンでした:
もちろん「あれは講師の側が問題だ」と衆目の一致するところでした)。

そういう貴重な講話を伺えた研修も、実施日は原則最終土曜の出勤日。
(本社での会議・勉強会も、同じく土曜日開催)。
当時は、1週間営業所でフルに働いた金曜日の夕礼直後に
(夕礼については、定時後のタイムテーブル等で綴りました)、
本社(大阪)に向かい深夜着、ホテルに前泊。

研修当日土曜日の帰宅も遅くなり、結局、お休みは日曜日のみ
(正直、キツかったです)。

ただ、キーエンス創業者(経営者)の視点では、成長していたとはいえ、
当時、新規参入する市場・製品が後発、先行するライバル会社との競争・・・
生き残るには、平日は営業に徹するということが、
成長に必要な要素のひとつだったと思います。
(一例として、営業担当者の週あたりの訪問件数等についても綴りました)。

現在、暦上の三連休で、たまの土曜日を出勤とされる企業

以上のようなキーエンスの仕組みを、全くご存じないのですが、
私の経営支援先の中で、土・日・祝の三連休の土曜日のうち
何日かを出勤日とする経営トップの方が、複数いらっしゃいます。
(各社共通して、業績がいいので【競争に勝つ法則】のひとつかもしれません)。
・・・ただし、私のキーエンス勤務時代に時々あった、
週1日(日曜)のみ休日というスタンスでは無く、日・月(祝)は確実に連休です。

時々、社長さんに伺っています。
働く方の本音は、【すべて暦通り、3連休にして欲しい】では?

対して、どの社長さんの答えも、当時のキーエンスと同じお考えのようです。
『十分理解しています。本音は、すぐに休みにしてあげたい。
ただ、ライバル会社との過酷な競争状態では、
平日の日中は、なるべく残業無しで営業(顧客対応)に集中する
その為、会議・勉強会は、たまの土曜出勤日に実施』
・・・(残業に対する考えを除き)当時のキーエンス方針と同じです。

思いつかれた研修実施という選択

◆ライバル会社との競争を制して成長することと
◆土曜日出勤という従業員の方の不満を解消することを
両立させる案を考えたところ、
【土曜の出勤日に、時々研修を実施】という結論に至ったと。
そこで外部の講師を探し始められるわけです。

外部講師が必要な理由①スキル・ノウハウは継承されないという変化(悲しい現実)

景気が持ち直した背景で、最近は営業部門でも積極的な増員実施
(お若い方中心)。
もちろん、課題は教育です。
上記の社長さんのほとんどは、リーマンショックまでは、
外部の講師は不要であると考えておられました
(社内の上司や先輩が担当したと)。

ところが、(従来同様に)終身雇用の看板を下ろすつもりは全くない
強く訴えても、リーマンショック以降、世間のリストラ記事・情報が
ますます世に氾濫する現況・・・
社内で、後進を教育するという意識が、あきらかに低下していると。
・・・お若い方への教育(スキル・ノウハウへの継承)がなされない。

外部講師が必要な理由②誰も真似ができない天才のスキル・ノウハウ

また、営業担当者のレベルは、入社後に当然バラツキが生じるが常ですが、
特に教育体制が充実していない企業では、不思議な現象が生まれます。
(教育を受けずとも、自然発生的に生まれる)優秀な方(天才ともいえる)のスキル・ノウハウは、
誰も真似ができない(属人的ということです)。

一例として、笑い話みたいなのですが、
新人の方「どうやったら、先輩のようにたくさん売れるのですか?」に
優秀な先輩(天才)『簡単だよ、お客さまのところに行けばいいだけ
新人の方「???・・・」
同じく、この状態もお若い方への教育は絶望的です。

最近の若い人は云々・・・と批判めいた話しが多いですが
(実は、私の時代も同じでした)、
よほど心の根の腐った人物(希少な存在)を除き(一例⇒『知恵ある怠け者』)、
【仕事を通じて成長したい】というのは、昔も今も
営業担当者(特にお若い方)の共通の願いだと思います。

業界は違えども、社長さんの狙いは同じです。

土曜日に営業部門強化の研修実施→ライバル会社との競争に勝ち抜く→持続的成長が見込めると判断した後に、土曜日出勤日を撤廃して全て休日にする。
そうです、狙いも、かつてのキーエンスと全く同じなのであります。

土曜日実施の研修(講師である私の所感)。

もちろん、テーマは営業とマーケティング。土曜日の講師を拝命した当初は、
参加される方が、ウンザリされているないかな?と思いきや、正反対でした。
どの企業でも、受講生の皆さんは真剣なまなざしで、活き活きとされています。