本日は、令和元年(2019年)12月4日(水)
【東京・四ツ谷の経営コンサルタント
元キーエンス(→アンリツ)社員、
中小企業診断士の立石です】

モラルハザード発生の要因のひとつが、
マイナス社員の存在であると、前回綴りました。
現行法・判例では、少々問題があっても正社員であれば
簡単に解雇できない為、同じ問題を抱えている企業も多いと思います。

キーエンスとモラルハザード

キーエンスの創業者は、モラルハザードの発生が、成長の阻害どころか、
経営危機に直結するものだと、黎明期から危惧していたのは
間違いないと思います
その関連で、創業者が当時常に留意していたことを回想します。

今回初めて綴ります:創業者が語った【お神輿(おみこし)談義

『お祭りを例に出します。
お神輿(おみこし)を皆で担ぐ時、【かけ声】【担ぐフリ】だけで、
実際は担いでいない者もいる。そういう人物は、当社では必要としていない』と。

さらに、既に綴りましたが、
・営業担当者が外出先で昼寝などのサボタージュ・・・【時間を盗む行為】【虚偽の報告】は、厳罰(懲戒の対象)。
・職場で全員の働きぶりが見渡せるように、【パーテーション(仕切り)の無いフロアー】
・・・そう全員が同じ負荷(怠ける者を許さない仕組み)。
私が入社した1980年代後半期は、80点以上の社員の出現を期待するより、
まずマイナスの社員の存在を認めないことに、注力されていたと思います。
現在は、おそらく全員が70点レベル(ライバルとの受注競争では、常に8勝2敗と圧倒)。
もちろん、70点以下となれば、解雇でなく自主退職されることでしょう。

正社員を解雇しない(できない)のは、キーエンスも同じです。
70点以下の社員が自主退職するのは、私の勤務時代と同じく
会社からの強要などは無いはずです。
退職する理由は、私のように新天地を求める他に、
【ついて行けない】と認識されたからでしょう。
(成果と日々の活動が、客観的な数値で【見える化】・公正な評価をされているので、
周囲も本人も納得できます)。

仮に、40点(いわゆる努力要)レベルで退職というのは、
世間一般では考えにくいかもしれませんが、40点でも良しとすると、
ズルズルとマイナス社員が発生するリスクが想定されます。
これを回避してきたからこそ、高成長の維持と高い報酬が実現できたかと。

とても考えにくいのですが、
現在のキーエンスで、万一マイナスの社員が出現したら・・・
3日間は無理ですが、3ヶ月はかからない。
3週間以内に、悔い改めるか、自主的に会社を去るかの選択になるでしょう。
モラルハザードとは無縁、それがキーエンスの職場です。

もし、一般の企業にキーエンス方式を導入すると・・・

優秀(80点以上)2割
普通(60点)6割
努力要(40点)2割
という、【2割の法則】通りのバラツキが定着している企業に、
キーエンスの評価手法、あるいは最近注目されている【KPI】手法を
そのまま導入したらどうなるでしょうか?
誠に残念ながら、成長どころか(特にB2B・製造業では)、
営業部門で退職者が続出する可能性(最大4割)が、高いと断言いたします。
理由は、実務経験でのみ得られる(普遍的な)『法則』の存在です。
これを念頭に、なるべく退職者を出さずに、
業績伸長させる施策を提案するのが、私のコンサルティング手法でもあります。