本日は、令和4年(2022年)11月18日(金)
【マーケティング&セールス/B2B(BtoB:企業間取引)
製造業(卸売業)専門の経営コンサルタント(中小企業診断士)、
元キーエンス(→アンリツ)社員の立石です】

昔も現在も、入社後は、学歴等の入社前のキャリアは一切問わないはずのキーエンス。
それでも創業者は、1980年代以降しばらくは、超難関大学
(当時はまず、新卒として初の採用実績のあった私立大学)の新卒者を求めていたのです。

そんな超一流・いわゆる地頭のいい学生の採用にあたり、
キーエンスでは例外中の例外の手法がありました。
前回綴った、秘策ともいえるエピソードが、それを物語っています。
今回、そこまで創業者がこだわった理由を、私見でズバリ述べます。

新卒研修の際、時々創業者が口にされた【一流を目指す】

【一流企業の要件】は、さまさまだと思います。
その中で、創業者は、大手一流企業の経営者と同様に、
いわゆる時頭のいい超難関大学の就活生が会社訪問解禁に押し寄せる企業を、
当時目指したのだと思います。
成長企業といえども、当時のキーエンスは就活生にとって無名に近い中小企業。大手志向の時代。
キーエンスを第一志望にしていた学生は、私を含めて少なかったと思います。

小さな環境変化を活用する創業者の天才的直観

キーエンスの創業者の凄い点は、環境変化に敏感で、即時活用する点です。
過去にも、
宅配便が成長の兆し(現在のような市場規模ではありません)
→業界ではありえなかった営業担当者の納品業務を廃止して、すべて宅配便に置き換える等です。

採用に際しては、当時未曽有の円高不況という環境変化。
私同様に大手を中心とした第一志望の会社に入社できなかった学生が、
中小企業を選択、キーエンスに応募が殺到したのです。

そこに、ポツーンと、キラ星のように現れた東京の超難関私立大学出身の新卒同期が入社。
まさに、キーエンスの創業者にとっては、次ステップへのチャンスと捉えたようです。
前回綴った「接待?」という秘策の効果もあったらしく、その超難関私立大学の採用実績が継続します。

そのおかげか、関東では見向きもされなかった大阪本社のキーエンス。
その後は、さらに難関大学(となると、首都圏の誰もが知る国公立大)出身者の応募と入社が続きます・・・。
もちろん、以降は秘策などは全く必要ありません。
さて、当時の創業者は、超難関大学出身のみならず、新卒者を欲していたのです。
そして中途採用と新卒の明確な区分が始まります。
その話題は次回以降に。