本日は、平成27年(2015年)2月28日土曜日
【東京・四ツ谷の経営コンサルタント 中小企業診断士の立石です】

土日・祝日のテーマは「バラエティ」です。先週に引き続き、私が新卒で入社した株式会社キーエンスの話題です。
当時のキーエンスは中小企業から大企業へ飛躍する頃でありました。現代の中小企業経営者に参考になることも多いと思います。
私の頭の中の記憶を綴りますが、もう四半世紀以上過ぎたので、ボンヤリした内容かもしれません。
キーエンスを退職して、当時のライバル会社に転職した後も含めて、最近は何事につけ日記を書いておけばよかったと後悔する日々です(笑)

今回は、BtoB(企業間取引)ビジネス分野の企業経営者の方にとって、身震いするほど緊張してしまう質問をいたします。
ある日突然、キーエンス級の強い会社がライバルになった時、対処できますか?
世間一般の会社と比べ、「一歩」どころか「二歩」は確実に先を行くキーエンス。そのキーエンスは、BtoB(企業間取引)のビジネスを志向していて、工場や研究所、流通分野むけ製品の販売がメインです。ただいまキーエンスと競合関係にある会社は、日々し烈な販売競争を繰り返しながら、業績の方は芳しくないか、たとえ黒字であってもキーエンスと同様の経営成績(売上高営業利益率50%超等)は残せていないと思います。
一方、BtoB(企業間取引)の分野でも、キーエンスと異なる製品を扱う企業では、キーエンスという会社に対して、全く関心が無いことかもしれません。関心が無いということは、当然、対策などは備わっていないということを意味します。「キーエンスはウチの市場に入ってこないだろう・・・」と、たかをくくっていることは危険です。キーエンスではなくとも、新たにキーエンスレベルの強力なライバルが登場するといかがでしょうか?それが現実味を帯び始めているのです。
その大予想です。あくまで私の私見ですが、BtoB(企業間取引)の分野では、今後キーエンスのような極端に(二歩先行く)強い会社が増えるものと考えています。その理由のひとつとして、ズバリ雇用環境の変化があります。
私がキーエンス出身と知るやいないや、相手の方からよく聞かされることがあります。キーエンスは高い利益を獲得する企業の為、やっかみ半分もあってか「アノやり方では続かない、いずれ業績が落ちるはずだ」という意見です。
周囲が危惧する「アノやり方」とは、仕事(特に営業部門)が世間一般の会社より厳しいとされている点です。いくら売れる仕組みが構築されていても、実際のところは仕組み通りに働く人(従業員)によって業績が左右されるわけです。成長に際して必要な増員、人材の確保がいずれ困難になるであろうとの考えであります。ところが、この見解は私が退職した30年近く前から言い聞かされてきましたが、新聞記事を読む限り、まったく外れていたわけで、キーエンスの成長が鈍化したのは、リーマンショック当時ぐらいしか記憶がありません。
世間一般の会社VSキーエンス
何度も綴ってまいりましたが、キーエンスはブラック企業ではないと思います。私自身が経験した直販営業という仕事に焦点を当てれば、その厳しさは、
【世間一般の会社<キーエンス<ブラック企業】の式が成り立つはずです。
ブラック企業の話題は外に置くとして、かつてキーエンスの対極にあったのは「世間一般の会社」であります。私が社会人になった当時、この「世間一般の会社」のほとんどは「年功序列・終身雇用」が大前提。若いうちは低賃金でも、ミドルになる頃には(大した論功が無くとも)それなりの賃金と地位を得られるモデルです。「会社に働かないおじさんが居る」と揶揄(やゆ)されようが、その地位は定年退職まで安泰。その働かないおじさん群は、若い世代の優秀な社員からすれば、とても歯がゆい存在である一方、大多数の若手社員にとっては、終身雇用が保証される安心の証しでもありました。

以上のような「世間一般の会社」の社風などは、私がキーエンス在職中に全く感じられませんでした。かつて綴りましたが、1987年4月新卒同期入社で営業配属された24名中12名が退職。さらに、昨年25年ぶりに再会した同期によれば、2002年時点でさらに営業同期が2名退職済みという事実を知らされました(実際、その後の退職者がいるかもしれません)。また、私が配属された営業所では、所属した販売グループ全員が退職するなど、私自身が正確に把握した内容から、どう考えても退職される方が多い会社であったのは事実であり、周囲の方と同様に「アノやり方は、いずれ限界が来る」と考えていました。

ところが、世の雇用環境が一変します。1991年のいわゆるバブル経済崩壊(ITパブルの前です)後、しばらく経過した1993年頃だったと思います。世間では「リストラ」という言葉が使われ始めました。実体はもちろん人員整理です。そして現在に至っては、新聞記事を見ているだけでも、全社で黒字を確保できる見込みでありながら、赤字の部門の人員を削減する企業があったり、労働組合が組織されていても正社員が削減されていく企業があったりと、終身雇用の制度そのものが、形骸化する方向にシフトしつつあると思います。

このような雇用環境では、特にお若い方にとっては一寸先が闇、将来像が全く見えないわけです。私が中小企業診断士試験を受験し始めた当時(2009年)、勉強仲間のほとんどが、30歳近傍の方。大手企業や安定した企業に勤務されている方も多かったのですが、その資格取得の動機を尋ねてみると、大半の方が「いまは安泰かもしれないが、見えない将来への備えが必要」と答えられたことには驚きました。私の30歳代当時とは、全く異なる意識の変化です。

就職して将来が見えない・・・そうなれば、キーエンスのように少々仕事が厳しくても、入社早々からリターン(報酬)の高い会社、早期にスキルが身に着く会社を志向する方が増えることも自然の流れでありましょう。対して人材を採用する企業の側も、保証できない「年功序列・終身雇用」を無責任に提示するよりも、キーエンスのように激務であれ社員にきちんと成果を出してもらい、それに見合った高い報酬を支払う姿勢が求められ、それこそが優秀な人材を確保する要件ともなるはずです。この流れは加速するはずで、それゆえキーエンスのような強い企業が、続々と出現すると予想しているのであります。

現在、キーエンスのような強いライバルと競争をしていない他の企業からすれば、誠にありがた迷惑かもしれませんが、このトレンドは回避できないと思います(いわゆる外部環境の変化です。関連記事があります→コチラをクリックしてください)。
もういちど繰り返します。
ある日突然、キーエンス級の強い会社がライバルになった時、対処できますか?」
強力なライバルが出現するといった外部環境の変化を想定して、あなたの会社はどう備えますか?
答えはひとつ。二歩先を行くキーエンス級のライバルに、すぐに横並びはできません。まずは一歩前進して備えるのみです。次回も同テーマで綴ります。

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