本日は、平成26年(2014年)6月14日土曜日

【東京・四ツ谷の経営コンサルタント 中小企業診断士の立石です】

土日・祝日のテーマは「バラエティ」です。先週に引き続き、私が新卒で入社した株式会社キーエンスの話題です。当時のキーエンスは中小企業から大企業へ飛躍する頃でありました。現代の中小企業経営者に参考になることも多いと思います。私の頭の中の記憶を綴りますが、もう四半世紀以上過ぎたので、ボンヤリした内容かもしれません。最近は何事につけ日記を書いておけばよかったと後悔する日々です(笑)

キーエンスを退職してからの再就職活動の話題を続けます。同じBtoB(企業間取引)の電機業界を中心にセールス担当者募集に応募しました。加えて、ライバル会社にも目を向けたのは前回までのブログの通り「キーエンスでの営業経験が、どの程度評価されているのかを知りたい興味」という程度で、実際にコンタクトするたびに、入社する気持ちが失せてきました。どこの会社からもキーエンスに対する「恨みぶし」や「勘違い」の意見がだされて、やや憂鬱な気分になったからです。

そんな中、キーエンス時代に自身が担当した精密計測機器のライバル会社で「惚れ惚れする機器を開発・販売する会社」のアンリツ株式会社に書類応募をしたところ、思いもかけないお招きを頂きました。入社後に知ったのですが、私が購読していなかった大手新聞に募集広告があったようです。しかし再就職活動の当時はそのことを知らずにいましたので、ただ驚きだけだったのです。

アンリツ株式会社は、もともとは通信の技術をもつ歴史のある会社で、当時は港区にあった本社ビルに訪問いたしました。広尾駅の出口をでてすぐに入口がありました。
当時は「営業力・販売力のキーエンス」と対称的に
技術力・製品力のアンリツ」というイメージがあるだけで
「一体どんな会社なのだろう?」とワクワクしていました。
と同時に、キーエンスのライバル会社であったことから、他のライバル会社での面接のような不遜な対応だけは、ご勘弁頂きたいと願っていたのであります。
ところが、対応頂いた人事の方とお話ししていると「品位」が伝わってきます。「誠に失礼な質問ではございますが、本当に当社に入社されるご意思がございますか?」。
このご質問を頂いた時点で、腹をくくりました。半分冷やかし気分であった自分自身が恥ずかしくなりました。
後日(すぐさまです)、役員の方6名と面接(こんなに早く進むとは・・・当時、とても感激した記憶があります)。面接時間は相当長かったと記憶しています。役員の方の質問内容やスタンスは、他のライバル会社と全く違います。
終始「紳士的」に対応頂き、学生時代の就活の際、キーエンスの創業者との最終面接と同じ雰囲気を感じとりました。
キーエンスが、アンリツの市場を相当侵食している事実を十分把握されていたのですが、キーエンスの批判や怨嗟などのご発言は一切無し。経営トップに備わる「高い視点」というものを知りました。
たとえば、ライバルとなる会社の優秀な営業担当者がひとり退職すれば、その差は「プラス1」となり、自社が有利になる。
そして(勝手な言い分で、大変失礼ですがと前置きされた後)その退職されたライバルの営業担当者を、若しこちらに採用できれば、その差は「プラス2」でさらに有利になる。そんな話しも飛び出しました。いままでライバル会社をそういう視点で考えたことがありませんでした。まるで中国の歴史(三国史)のようです。
・・・当時創立100年を目前にした風格というものを感じとりました。正直いってキーエンスのような高い年収は見込めませんが、には高い報酬より、必要な何かがあるのだろうと感じました(入社後、実際にそれを体感しました)。「何の販売を担当されたいですか?」キーエンスと違う事業分野がたくさんあります。とっさに「キーエンスと同じ製品を担当させてください」。面接が終わった帰り途。いろいろ勝手な希望を申し上げたものの、そう簡単にはいかないだろうと覚悟していました。ところが、応募した会社の中で最速の期間で内定を頂きました。そこで、キーエンス並みに高い報酬を提示頂いた外資系の会社を含めて、すべての内定の辞退を即断しました。キーエンスを退職して約3週間。7月下旬のことです。
NEW キーエンスからライバル会社のアンリツへ。
高い報酬より必要な何か』とは?
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『元キーエンス社員の回想、通算100回』にして、学生さんむけ、社会人むけ、そして経営トップ・事業責任者むけの記事をまとめてみました(コチラをクリックしてください)。