本日は、平成26年(2014年)5月3日土曜日(祝日)

【東京・四ツ谷の経営コンサルタント 中小企業診断士の立石です】

土日・祝日のテーマは「バラエティ」です。前回に引き続き、私が新卒で入社した株式会社キーエンスの話題です。当時のキーエンスは中小企業から大企業へ飛躍する頃でありました。現代の中小企業経営者に参考になることも多いと思います。私の頭の中の記憶を綴りますが、もう四半世紀以上過ぎたので、ボンヤリした内容かもしれません。最近は何事につけ日記を書いておけばよかったと後悔する日々です(笑)

短い期間でしたが、思い返せばキーエンスに勤務している当時、厳しいことは多々ありました。直接の退職理由にはなりませんが、以前綴った
◆遠方の地区担当として長距離移動(記事はコチラ
◆売上予算が「利益管理であること」(記事はコチラコチラ
◆電話発信時間の管理(記事はコチラ
◆反省会の制度(記事はコチラ)等々は、一般の会社に勤める方には、通常は耐えられないことかもしれません。ただ、他の会社を知らない新卒入社の私には「会社とはこういうものだ」と割り切っていたからこそ、平気だったのだと思います。
入社2年目には、回避できない外部環境の変化である「大手ハイテク企業の逆襲」(記事はコチラ)に遭遇し、価格を下げざるを得ない状況も生じて、苦労して受注した成果額が少なくなるため、営業担当者としては日々厳しくなる一方でした。

また、当時は現在のような1000万以上という破格な年収でもありません。他の中小企業より、ちょいと収入がいい程度。私にとっては、賃金がモチベーションの源であるはずありません。
そんな状況でも、創業者の経営に関するビジョンなどには心服していて、さらに、共に難局を乗り切る上司の責任者(記事はコチラコチラ)とグループの先輩の存在が大きく、辞めずに頑張ろうと考えていました。そして何よりも「お客さま」の存在が大きかったのも確かです。
2年目早々、今の5月頃だったと思います。機器を積んだ専用車で、お客さまを巡回するという販売施策がありました。計測機器の業界では、既に実施されていた手法です。
私の担当地区でも数日間実施となりました。是非訪問したいところがありました。キーエンスの他の事業部の営業担当者もほとんどアプローチしていない、取引実績が無い大手のお客さまです。以前から気になっていたお客さまでした。近所を訪問した際、思い切って飛び込みでご挨拶。何度目かの訪問で、機器を搭載した車両の訪問による展示説明会の開催を申請したところ、快諾頂けたのでした。
「許可を頂けた・・・」それだけでも嬉しかったのです。
機器搭載車とは現地合流となります。ところが、他の機器や機材を別途持ち込む必要がでて、営業車を利用しての前泊の予定となりました。初日の訪問先が600km以遠の地区だったので、責任者から「夕礼に参加しなくていいから、早めに出発しなさい」と指示をうけました。
定時17時15分が過ぎに出発予定としました。エンジンをかけた時点で、積み込みを手伝って頂いたグループの責任者や先輩が車の窓を叩きます。
「何だろう?」と窓を開けたら「がんばってな」「気をつけてな」と声をかけて頂いた。直進した一旦停止の交差点で、ふとバックミラー見たら、全員「お見送りのスタイル」で直立されて手を振っておられた。疲れも吹き飛んで、長距離の走行もへっちゃらとなります。
最終日の最後が、事前の飛び込み訪問で快諾頂いたお客さま。夕方に訪問予定。本社から回送された機器を積んだ専用車と本社の支援担当者と車両で向かいます。途中、思いもかけない渋滞の影響で、訪問が15分程度遅れてしまいました。入門したら、既に30名程度のお客さまが、指定場所でお待ちになられていました。
携帯電話の無い時代、到着してすぐに遅参をお詫びしようとしたら、みなさん、お怒りどころか「お待ちしていましたよ」「機器を早く見せて、早く早く」と歓声があがります。「もう来ないのではと、不安になりましたよ」とも。初めての訪問で、しかも遅れて参上したのに笑顔で接していただけたことが、とても嬉しかったのです。
お客さまの定時退社時間までの短い時間ではありましたが、とにかく機器を説明して、アンケート用紙へのご記入をお願いして、名刺交換をさせて頂いた。お渡しした名刺をご覧になって「えっ?あなた、こんな遠いところから来てるの?・・・どうもありがとうございます」と感謝のお言葉も頂けたのでした。
説明会は無事終了。本社の担当者と分かれ、営業車でひとり金曜日夜の高速道を走行します。帰着できたのが日付が変わった土曜日、深夜午前1時。駐車場で営業車のエンジンを止めました。駐車した場所が明るい街灯の真下。ご記入頂いたアンケート用紙と頂いた名刺すべてに目を通しました。長距離運転で、相当疲れていたはずなのですが、お客さまへの感謝のあまりに、すぐに目を通したかったのです。すでに転勤されたのですが、配属された当時の営業所長から最初に訓示された言葉が頭をよぎりました。「メーカーの営業マンに、お客さまは期待している。」当時、営業担当者としてお客さまの利益にもなりたいという使命感がありました。
1時間は、その場にいたと思います。アンケートに書かれたリクエスト内容と、お客さまの名刺を拝見しながら「今後役にたてるよう、そしてご購入頂けるように、がんばろう」と決意します。荷物を誰もいない営業所に戻し、これで今週の勤務が無事終了。
帰宅途中。当時数少ない早朝まで営業していた、あるチェーンの居酒屋に入りました。カウンターに座ると、遅い時間に入店した私がシラフなので、お店の人も「?」の表情。軽く食事をしてから翌日土曜日は、お昼すぎまで熟睡していました。
週明け月曜に、グルーブの責任者や先輩に、説明会の状況を報告。特に最後に訪問したお客さまの結果は、注視されていたようで「これは、後に成果のでる説明会だ」、「これは大成功だ」とほめられたことが、一層うれしかったのです。その後、飛び込みで訪問したこのお客さまと、新規取引を実現するとともに、主要なお取引先のひとつとなったのでした。お客さまから感謝されて、注文を頂ける・・・この感激が、キツイ仕事を続けられた理由のひとつでもありました。
2017年4月追記:お客さまから、ある言葉をかけて頂き【鳥肌が立つ感動】もありました (キーエンスの直販営業担当者だからこそ、そんな体験です)。
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